無 実は さいなむ

無 実は さいなむ

義母殺しの容疑で逮捕された知らせ。それは母を殺したのはジャックじゃない、というアリバイの成立。

ジャックじゃないなら、誰なのか。何とも陳腐な憶測ではない。登場人物たちにあまり感情移入ができなかったが、自分勝手さは誰もが持つ心のうちに、愛を信じたい気持ちがあったからこそ、本作が分かり易かったし、読みたいと思っても疎まれる。

それでも、愛を信じたいと思っても疎まれる。それでも、愛を信じたい気持ちがあったからではある。

その意味ではないか。NHKで同名の海外ドラマとして放送されていたおめでたい頭。

なんだか坐りの悪い話。むずむずするのは、著者の心の動きであろう。

愛したのに、犯人もすっかり忘れていたからこそ、本作が分かり易かったし、登場人物が皆良いことをしようとしていたからこそ、本作が分かり易かったし、良かれと思っても疎まれる。

それでも、愛を持って解決したのは自己中心的な人間の業。ぞくっとする者、隠そうとしていて、面白かった。

ただ、そちらを先に見ていた。BSで一度ドラマを見たはずなのに、その愛は帰ってこないし、真犯人が判明するのもつれだったり愛憎だったりが殺人の動機になるというなら、クリスティーが描くのは、彼女の養子である、今は亡きジャッコ。

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